マイレージサービスの課題

マイレージサービスの課題

3社のアライアンスは巨大な地球規模での航空ネットワークを構築していて、ハブ空港でも同じターミナルの中に加盟航空会社があることで、ターミナルの移動という面倒なことから開放されるのでとても便利になっています。航空会社同士も既存の顧客満足度をあげるためマイレージサービスをすることで、マイレージを積極的に貯める「マイラー」も登場しました。

マイレージサービスを導入して、マイルを獲得する方法も飛行機への搭乗だけではなく航空会社が提携を結ぶクレジットカード、ホテル、レンタカー、通信販売といった他業種との提携でのマイルの獲得や交換もあってシステムはかなり複雑化しています。

システムが複雑化していることで、マイレージサービスの盲点をついたマイル獲得方法などが存在してしまうことがあります。それと同じ様に、マイルを獲得のために、少ない費用で多くのマイルが獲得できる路線を乗り継ぐ航空券を利用する利用者もいます。

このようなポイント加算は様々知られているため、約款で禁じられていない限りは不正な取得にはなりません。航空関連会社がこのような行為を問題と判断した場合に、その都度システムの改修が行われますが、改修されるまでしばらく期間がかかるため、抜け穴をついて利用されてしまうこともあります。

また、システム改修にかかる費用が高額となるので、このまま放置した状態のほうが結果的に低コストの場合になる場合にはあえてシステムを改修しないで放置と割り切ることもあります。このような場合には、次回の運賃改定などのシステム改修のついでに改修されることが多くなっています。また、チケット利用でこのような行為が発覚した時には、航空会社から搭乗やマイル加算を拒否される場合があります。

課税の是非

マイレージサービスでは、マイルを得た時点でサービスを得るのではありません。マイルを使用する時点で相応の利益(サービス)を得ることになります。そのため、一般的な値引きサービスとはちょっと違っています。これはマイレージサービスだけの問題ではなく、大規模小売店が発行するポイントカードでも同じ現象が発生します。例えば、仕事の業務で出張した時にかかった経費を個人のクレジットカードで立替払いて、クレジットカードでポイントを得た場合もこのようなケースに当てはまります。

日本の場合でみると、2001年(平成13年)7月3日発行の納税通信によると、納税主務官庁の国税庁が「マイルは小市民的な喜びや景品の一種と考えるのが適当で、お金の出所が会社ということからもマイルは課税対象にならない」という見解を示していました。

しかし、2003年(平成15年)の所得税関係質疑応答事例集によると、「業務による出張で発生したポイントを利用者である従業員の名義で獲得した場合、それは実質的に出張を命じた企業から従業員への贈与による一時所得になる」という見解に変わりました。(但し、所得税の一時所得には50万円の特別控除があるため、他の一時所得も加算して特別控除額を超える場合に所得税が課税)

このように出張を命じる会社には明示的に負担をかけないかたちで利用者個人に利便を与えることで、囲い込み効果を狙ったのがマイレージサービスですが、海外での対応は国によって変わってきます。カナダでは課税対象としていますが、アメリカでは、多数にわたる業務出張に対する個人への補償と捉えている企業が多いと言われています。

日本でも、業務倫理が問われることの多い公務員が属する政府機関や、官公庁では、イギリスなどマイルの取り扱いにおける倫理規程を定めているケースがあります。日本でも、会計検査院と法務省は個人名義でのマイル取得を禁じています。このような倫理的観点からマイルの「私用」を禁じている企業も現れつつあるのが日本の企業にも見られるようになっています。

出張者の多い大手企業の中には、航空会社と企業が直接契約して、自社の出張にかかるフライトについてはマイレージサービスの提供を不要とする代わりに、ディスカウントを求める例があるという報道もされています。

また、航空各社では法人対応のマイレージサービスを行っています。このような場合は蓄積されたマイルは法人の所有となりますので、個人に対する利益供与にはあたりません。しかし航空会社からの利益還元という一面もあるため、利益については税法上の一時所得になるとされていますが、実際のこの運用を行っているかどうかには、不明な点が多くなっています。

経営破綻したらマイルはどうなるの?

マイレージサービスのマイレージは、航空会社が顧客に対して将来の値引き、金券、品物、サービスなどの交換を約束したものになっています。航空会社経営からみるとマイレージは債務となりますが、もし運営航空会社の経営が行き詰まって破産した場合は、顧客が保有しているマイレージは保護されません。

実際に、2001年(平成13年)アンセット・オーストラリア航空が経営破綻したときには、アンセット航空が運営していたマイレージサービスで取得していたマイルは全て失効することになって、マイレージを保有していた人に対して救済措置もなにもありませんでした。

航空会社側からマイルを電子マネーと交換可能なサービスも存在するため、少なくともマイルの提供元である航空会社にとって、マイレージサービスにかかる未履行債務をどのように評価して、財務諸表に計上するかは、財務上の課題となっています。通常、会計上はマイレージ分は負債に計上されています。もし未使用のまま期限切れになってマイレージが失効した場合には航空会社の利益になります。

2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ以降から、アメリカ大手のユナイテッド航空、ノースウェスト航空など、多くの航空会社が連邦破産法第11章を受け入れて、破産しました。これらの航空会社では企業再生を行っていますが、マイレージサービスについては全面的に保護されました。

日本では、日本航空と日本エアシステムとが経営統合した際にそれぞれが行っていたマイレージサービスについても、それまでのマイル加算基準の相違にかかわらず、JASスカイメリットはJALマイレージバンクに移行してマイルは等価交換されています。

そもそも高頻度の顧客をつなぎとめるための制度としてマイレージサービスが成り立っているため、この債務の解消はそのまま高頻度顧客の流出に直結してしまうため、経営危機に陥っても簡単には取り消すことができないという経営上のリスクも存在しています。

航空会社側では、顧客が貯めているマイレージの蓄積を解消するために閑散期にはマイレージの変換レートを引き下げることで、マイレージの蓄積を減少させる試みを行っている航空会社もあります。